前回の「柏の葉T-SITE」の記事に続き、今回も写真家&ライターの佐田真人さんに、柏の葉T-SITEについて書いていただきました。
今回はいつもの記事とすこし毛色を変え、柏在住の実希さんにご協力いただき、写真を中心に、柏の葉T-SITEの魅力に迫っていきます。
あこがれの代官山T-SITEのお話から
「柏の葉キャンパス」駅が近づくにつれ、雑居ビルの合間から見える景色が徐々にひらけ、青い空が窓一面に広がっていく。
東京・秋葉原から電車でたった30分の距離なのに、どこか遠くに来てしまったような気持ちになる。
はじめて訪れる場所は、どこであってもやっぱりワクワクするものだ。視界がひらけるにつれ、心が弾んだ。
はじめて「T-SITE」の存在を知ったときのことを思い出す(T-SITEは蔦屋書店を中心とするいくつかのセレクトショップを含めた複合商業施設のこと)。
「丁寧な暮らし」という言葉にまだあまり手垢がついてなかったころ、それを形にしたようなスポットが東京にできたと知ったとき、とても羨ましかったのを覚えている。
おしゃれスポットといえば真っ先に「ヴィレッジヴァンガード」が思い浮かんだ当時の自分にとって、”THE・丁寧な暮らし”を体現するかのような代官山 T-SITEはとても眩しかった。
東京の代官山がどんな場所なのかもまだあまり知らなかったが、一瞬にして、いつか東京に訪れたら真っ先に行ってみたい場所となった。
それから数年経ち就活生になった自分は、はじめて東京へ行くことになる。
浅草やスカイツリーには目もくれず、真っ先に訪れたのは、やっぱり東京の代官山T-SITEだった。
蔦屋書店の店内に入って最初に手に取った本は、どこの本屋でも読めるであろうメンズファッション雑誌だったけれど、不思議とここでめくる本のページは軽やかだった。
なによりこの空間にいる人たちがとてもオシャレに見えたし、自分自身もとてもできるやつのように思えて、なんだかとても微笑ましかった。
あれから東京に来てからもう三年以上経つけれど、蔦屋書店は特に用事がなくても、ついふらっと来てしまう場所になった。
そんな頻繁に訪れる場所ではなかったけれど、たまの休日に訪れるここは、相変わらずとても居心地がよかった。
ここに行けば何かあるだろう、そんな淡い期待感を持って出かける。帰るころには日が暮れてしまっていることもしばしば。
それほどまでに、この空間に敷き詰められたまだ見たことのない世界の数々は、新鮮で魅力的だった。
そんな思い入れがあった場所だったからこそ、今回「柏の葉T-SITEの記事を書いてもらえませんか?」とお話いただいたときも、二つ返事でOKした。
さて、長々と書いてしまったが、今回は文章じゃなくて、写真中心にお伝えしたいのだ(と言いつつものっけから文字を詰めすぎてしまった)。
ここからは柏の葉T-SITEの魅力を少しばかりの文章と写真でお伝えしていこうと思う。
アクアテラスを含めてほんとの「柏の葉T-SITE」
キリの良いところで本を読み終えたら、少しカフェで休憩して、ふたたび読み始める。そんなゆったりとした贅沢な時間を過ごせてしまうのが柏の葉T-SITE。
スターバックスはもちろん、新鮮なフルーツジュースが飲めるお店もあったり、憩いの場がたくさんあるのも嬉しい。
「ちょっと休憩しようか?」と自然に出てくる施設は大抵良いところだ。この日は晴天だったので、ドリンク片手に散歩することにした。
少し行き詰まったら、散歩できる空間があることは素晴らしい。柏の葉T-SITEはアクアテラスを含めた広大な空間が魅力であることは確かだった。
一歩外へ出ると見えるのは、散りばめられた青と緑、この空間が心の癒しになっているのは間違いない。
西日が心地よく当たる。いや少し眩しすぎたかな。水があると清々しい気持ちになってしまうのはなぜなんだろう。
何がそうさせるのかわからないけれど、散歩をすることでどこか気持ちがスッキリしたり、意外と動いているときの方が感覚を巡らせることができる。
それは二人で歩いているときも変わらない。
どこかに座って話すよりも、意外と歩いているときの方が会話は弾みやすくなるから、不思議。
だからもし、あなたが大好きなあの人とここに訪れる予定があるのなら、ぜひそんな1日に散歩を入れてみてはどうだろう。
人々の暮らしに寄り添う柏の葉T-SITE
夕日が沈みかけてきたころに、ふたたび店内へと戻る。
夕暮れ時の蔦屋書店は、昼間より静かで、さらに落ち着ける空間となっていた。こころなしか、昼間より読書に励む人が増えた気がする。
蔦屋書店でいつもずるいなあと思ってしまうのが、暖かい間接照明の数々に、壁一面に飾られた本たち。
まるで、映画の世界に入ってしまったような気持ちにさせてくれる店内の装飾は、夜になるとさらにその輝きが増していた。
店を出るその時まで、和やかな気持ちでいさせてくれる空間の力は、本当にすごいなあと改めて思った。
最後に、T-SITEの魅力的なところはただの本屋だけに終わらず、その人の1日に寄り添ってくれる「小さな町」として機能しているところにある。
人々の暮らしに寄り添う柏の葉T-SITE。
かつての自分の「ヴィレッジヴァンガード」がそうであったように、柏に住む人たちにとっても、ここが自慢できる場所となっていくんだろうなあ。
そう思うと、やっぱり柏に住む人たちが羨ましかった。
(今回の撮影の間、最初から最後まで笑顔で付き添ってくれた実希さん。本当にありがとうございました!)