2018年2月に柏の葉KOILで開催されるStartup Weekend Kashiwa Vol.1 

その開催記念特集として、「柏」と「Startup Weekend」の両方にゆかりがある人をインタビュー形式で紹介しています。

第2弾の今回は、渋谷のコミュニティ・スペース「100BANCH」でコミュニティマネージャーを務める加藤翼さんにお話を伺いました。

「Startup Weekend Kashiwa」ではコーチを務める加藤さんのこれまでに迫ります。

加藤 翼(かとう つばさ)

Loftwork Inc.
100BANCH コミュニティーマネージャー

1990年生まれ。生まれてから小中高と柏で過ごす。早稲田大学文学部で哲学を専攻後、社会科学部へ転部。ボストンへの留学を挟んで卒業後、新卒で外資系コンサルティングファームに就職。アメリカ、タイなど海外プロジェクトで業務改革に従事。パラレルで通信制美大に通い空間デザインを専攻後、ロフトワークへ転職。現在は渋谷にあるインキュベーションスペース 100BANCHのコミュニティーマネジャーを担当。食べる事より知識を得る事が生きがい。

100BANCHについてはこちらから

「柏生まれ」かつ「柏育ち」の青春時代

― 柏で生まれ育った加藤さん。小学生時代から高校時代まで柏の学校に通っていたとのことでしたが、当時はどのように過ごしていたのでしょうか?

高校を卒業するまでは柏一色の人生でした。生まれたのも柏駅前の巻石堂病院でしたし、それから柏第一小学校、柏中学校と実家から一番近い学校に通い、高校は東葛(※東葛飾高等学校)に進学しました。

幼い時の思い出は、ずっとサッカーをやってた記憶ばかりです。

父親がサッカーコーチをやっていた関係で、小学校の時は地元の柏SSSというサッカーチームに所属していました。自分の名前は『キャプテン翼』が由来でしたし、小学校も中学校も、ずっとサッカーばかりやっている少年でした。

それは、高校時代も同様でした。母校がとても行事に熱心だったのですが、サッカー部は積極的には参加できない環境でした。みんなが準備しているタイミングでも練習が入っていたり、行事の当日が試合と重なっていたり。

ただ、合唱祭に関しては当時を鮮明に覚えています。「ええじゃないか、ええじゃないか」という歌詞が印象的な『お伊勢まいり』という有名な合唱曲があるのですが、それを柏の文化会館で歌っていた記憶があります。とても盛り上がりましたし、思い出すだけで懐かしい気持ちになれますね。

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― 中高時代はどのような性格だったのでしょうか? 今では多くの方を巻き込んでプロジェクトに取り組んでいる加藤さんですが、当時もクラスのまとめ役のような立場だったのでしょうか。

中学時代は学級委員をやったこともありましたが、高校の時は部活が忙しく、あまりクラス活動には取り組めていませんでした。クラス内では、どちらかと言うと裏方でみんなを支えるような役割が多かったと思います。

表立って劇の主役を張るようなタイプでもなく、積極的に先頭に立って取り組むことは自然と避けていました。ただ、高校は1年間を通して行事が盛んでしたし、クラスメイトと共に過ごした日々は楽しかったですね。

「動けば変わる」を実践し始めた大学時代

― 高校を卒業後、大学時代は早稲田大学文学部に進学し、その後社会学部へ転部していたかと思います。入学後に転部する人は少ないかと思うのですが、どのような経緯があったのでしょうか?

もともと早稲田大学に進学するつもりではありませんでした。現役時代は生物に興味があったので東京大学の理科二類を志望し、そこしか願書を出していませんでした。

ただ、その後一浪してしまい、浪人時代にも東大に合格することができませんでした。妹が2歳下であったことから二浪は考えられず、第一志望ではなかった早稲田大学に進学しました。

転部を行った理由としては、国連や世界銀行に就職したかったからです。大学1年次に国際協力の分野に興味を抱き始めたことから、次第に自分はそういった仕事に就きたいと考えるようになりました。文学部の哲学専攻者が通る道ではないと思い始め、当時3年生から編入が可能だった社会学部へと転部することにしました。

― 国際協力分野に興味を持つようになったキッカケとしては、何があったのでしょうか?

大きな転機としては、大学1年次に国際ボランティアを始めとする学生団体を統括するためのプラットフォームを立ち上げたことでした。キックオフイベントの際に東日本大震災が起こり、私たちの団体が「募金活動や支援プラットフォームとしての役割」を担うことになったのです。

当時は学生団体と呼ばれる組織は多く存在していたものの、一団体で取り組める範囲は限られていました。そのため、国や行政を巻き込み、ネットワークを築く必要がありました。

だからこそ、自分たちが国際機関と学生団体を繋ぐための中間的な役割を担うようになり、募金活動やボランティアが円滑に進むための“仕組み化”を行いました。

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当時の自分が次第に意識するようになったのは、「動けば変わる」という考え方でした。

高校時代の自分は「負けない勝負」に挑んでいて、当時は「失敗したくない」「恥をかきたくない」という考え方を持っていました。

でも、意外と人は他人の失敗に興味がないし、そこまで気にしてないんですよね。

社会課題を解決する上では「恥をかきたくない」などとは言ってられませんし、主体性を持って何事も取り組むことが必要となります。

リスクを取って「自分から主体的に取り組む機会」を増やしていかないと、何も変えられないと思うようになりました。

「日の丸を背負う経験」で生まれた責任感

震災支援での活動を評価していただき、2012年に世界銀行年次総会のユース代表として参加する機会をいただけました。

当時エジプトで行う会議が「アラブの春」によって東京開催となり、アジェンダとして“若者の雇用”が取り上げられた年だったのです。

そして、春のタイミングでその準備会合となるスプリング・ミーティングをワシントンDCで行ったのですが、その時に数多くの驚きがありました。

知識量でもコミュニケーション力でも、とにかく周りのレベルの高さに圧倒されてしまったのです。

一緒に参加したスリランカのユース代表がLSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)の博士号取得者であったり、隣に座っていた南アフリカの経済産業大臣から「南アフリカでの○○の問題ってどうすればいいと思う?」と質問されたり。

社会学部に転部したばかりの自分に対する不甲斐なさゆえに、「ヤバい・・・!」という率直な危機感を抱きました。

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― ただ、世界を見渡してもそういった経験ができる学生は少ないと思います。そこで何か気づきがあったり、何か今後に活きたことなどはあったのでしょうか?

とにかく衝撃の連続ではあったのですが、「こういう世界もあるのか」と気づけた貴重な機会でもありました。

「日の丸を背負う経験」というのは、やはり大きかったと思います。これまで関わってきた団体を構成するメンバー、一緒にプロジェクトをやってきた方々の代表として参加している責任感を持つようになりました。

それから半年後の東京開催時には、学生団体の代表者からの協力を募り、世界銀行のユースプログラムを企画・実施する機会をいただけました。当時は自分の人生の中で1、2を争うほどの勉強をしていたこともあり、絶対に成功させたいという想いで臨んだことを、今でも覚えています。

また、その流れから翌年に横浜で開催されたアフリカ開発会議にも参加させていただきました。当時の「横浜宣言2013」の中にはユースから提言した内容も数多く盛り込まれるようになり、これまでの積み重ねが形になったと思いました。

「サービスとデザインが世界を変える」と知った留学時代

― 2013年の大学4年生の夏からは、半年間ボストンに留学していますよね。その時に気づいたこと、何か刺激を受けたことなどはありましたか?

それまで国際協力畑に染まっていた自分ではあったものの、「サービスとデザインが世界を変える」ということを知ってしまったのが留学時代でした。

アメリカのベンチャーが生み出すサービスやプロダクトの成長が凄まじく、そうした世界に感化されてしまったのです。

デザインやテクノロジーの力が世界にインパクトを与えていたことから、誰しもがゲーム・チェンジャーになれることを知ったのもその時でした。

AirbnbやUberが急成長していたのを覚えていますし、気づけば彼らのデザイン・ドリブンな考え方に心惹かれている自分がいました。

そこで、これまで取り組んできた法の世界、つまりは決められた枠組みの中で富の配分を考える立場よりは、「サービスやプロダクトを通じて世界を変えていく道」に進む方が、自分には合っていると気づけました。

その時に、自分は「官」より「民」の立場に身を置き、自然とそうしたキャリアを歩みたいと思うようになっていました。

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― 大学4年生となると、就職活動や大学院への進学を決め始める頃かと思います。加藤さんのこれまでの実績・経歴を考えると、官公庁や国連機関への就職を勧められる機会もあったのでは?

自分自身、海外でインターンをすることも選択肢にありましたし、特に急いで何かを決めようとは思ってはいませんでした。

確かにボストン・キャリアフォーラムでの人事面談では、「君は外務省に行った方がいいよ!」「君の履歴書を見る限りだと、国連で働くべきでしょ。」と言われることも多々ありましたが、自分の中では既にコンサルタントとして働く理由を論理的に説明できていました。

自分自身が好奇心で動く人間であり、仕組みを作りたいタイプであると理解したことにより、就職後の道筋が見えてきました。

明確に「これだけをやる」とは決めなかったのですが、まずは仕組み化するノウハウをコンサルタントとして学ぶこと、そして並行してデザインスキルを身につけることは、社会人になってからも意識して取り組み続けてきました。

「渋谷軸」と「柏軸」で取り組みたいこと

― コンサルタントとして約3年半勤めたのちに転職し、100BANCHのコミュニティマネージャーに赴任してから半年が経とうとしています。今後はどのようなことに取り組んでいきますか?

自分の中では「渋谷軸」と「柏軸」の2つで動いていきたいと考えています。

100BANCH

<出典:100BANCH Official Website

100BANCHのビジョンにも入っていますが、ここが一つのハブとなることで、渋谷を「好きと思ってもらえる街」にしていきたいと考えています。

未来をつくる実験区、東京渋谷ヒャクバンチ

100BANCHは、2018年にパナソニックが創業100周年を迎えることを機に構想がスタート、これからの時代を担う若い世代とともに、次の100年につながる新しい価値の創造に取り組むための施設です。

出典:VISION | 100BANCH

渋谷は再開発が進んでいて、これからが本当に楽しみな街です。ロフトワークも様々な形で関わる機会が多く、自分自身も街づくりの一員として心踊る毎日です。

「柏軸」に関しては、やっぱり自分自身が生まれ育った街ですし、何か地元に恩返しができればといつも思っています。

渋谷に比べると、「まだ手がついていない部分」が多々ありますし、柏に想いを持っている人の力を集めて面白いことが出来れば素敵ですよね。

今は比較的自由に動きやすい職場でもありますし、柏の葉KOIL(ロフトワークが空間デザインを担当したコワーキングスペース)でも、これから色々と仕掛けていければと考えています。

コーチとして参加する「Startup Weekend Kashiwa」について

― 今回の「Startup Weekend Kashiwa」ではコーチを務める加藤さんですが、自身がコーチングする上で心がけることなどはありますでしょうか?

参加者が作り出すサービスなりプロダクトに、「三次元の拡がり」を持たせる手伝いが出来ればと思っています。

たとえばスマートフォンアプリなりWebサービスを作っていく上で、デバイス周辺の環境、ユーザーが利用するタイミングなどをイメージすることは大切です。そういったユーザー体験を考える上で、自分が何かしらのヒントを与えることが出来ればと考えています。

あとは、「どうしてそれをやりたいのか?」「なぜやるのか?」という部分でメンタリングも実施したいと思っています。

スタートアップでは面倒臭いし大変なことが本当に多いです。自分の時間とお金を惜しみなく投資し、何よりも目の前の課題に取り組むこと上では苦しいと感じる機会も少なくありません。

でも、そうした大変さを知りながら、「脳裏から離れない想い」が強烈だからこそ、苦しいことも乗り越えられるのだと思っています。

だからこそ、その「想い」をちゃんと紐解くお手伝いが出来ればと考えています。

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― 最後に、「Startup Weekend Kashiwa」に参加する方々へのメッセージをお願いいたします。

自分自身、尊敬している人からいただいた「世の中できる人はいっぱいいるけれども、その場にあなたがいる意味を理解してほしい。だからあなたがやりなさい。」というアドバイスを常に意識しています。

国際協力のプロジェクトに推薦していただけた時も、人から声を掛けてもらったイベントでも、こうしたコーチの依頼でも、人の縁があってこその機会だと思っています。

だからこそ、この記事を読んでいる人にも、こうした機会を是非とも活かして欲しいと思っています。

もちろん Startup Weekend はハードなイベントですし、イベント概要を見ただけで「キツそうだな・・・」と思ってしまう人もいるかもしれません。

でも、そうした「重み」みたいなものは、終わってみれば大したことじゃない、意外とどうにかなってしまうケースがほとんどです。

私自身も、これまで自信を持てない場面に数多く直面してきました。けれども、どんな状況でも覚悟を持って取り組んできたからこそ、周りに集まってくれる人がいるのだと思います。

そうした「覚悟」を持ってる人には、是非とも足を運んでもらえれると嬉しいですね。

遂に柏で初開催!スタートアップを54時間で体験できる「Startup Weekend Kashiwa」が、2/9(金)〜 2/11(日)に開催されます!