17番を背負う手塚康平(Photo By @okapool

2017年シーズンを3位で折り返した柏レイソル。

第6節終了時点では15位に沈んでおり、「今年は降格争いか?」と不穏な空気が漂っていました。

しかし、元レイソル指揮官のネルシーニョ率いる神戸に勝利した後は、怒涛の8連勝を記録。

一時は首位にも立ち、終わってみれば優勝を十分に狙える位置でシーズンを折り返しました。

今回はレイソルが前半戦を好調な結果で折り返した要因を、「5つの理由」から紐解いていきます。

(1)リーグ前半戦でMVP級の活躍をしたGK中村航輔

Kosuke Nakamura(Photo By @FIGObarcelona
Kosuke Nakamura

2017年のレイソル躍進を語る上で、中村航輔の活躍は見逃せません。

チームが危機的状況に陥った際には神懸かり的なスーパーセーブを連発。

8連勝中も1点差での勝利が多く、「彼の活躍なしには間違いなくレイソルの好調は維持できていなかった」という意見も少なくありません。

【第10節セレッソ大阪戦(1-0勝利)の試合】

【第14節浦和レッズ戦(1-0勝利)の試合】

これらの結果が評価され、5月にはJ1の月間MVPを受賞しました。

また、6月にはロシアワールドカップ最終予選を戦うサッカー日本代表のメンバーにも選出され、ハリルホジッチ監督にも認められる存在へと成長しました。レギュラークラスとして活躍していた浦和レッズの西川を抑え、ゴールキーパー3名の枠を初めて勝ち取ったのです。

(2)コンビ結成2年目となった若きセンターバック

Shinnosuke Nakatani & Yuta Nakayama(Photo By @FIGObarcelona
中谷選手と中山選手

レイソルのゴール前には、若きセンターバックの2人が立ちはだかります。

1人目は1996年生まれでリオ五輪にバックアップメンバーとして選出されていた中谷進之介。小学4年生からレイソルの下部組織に所属し、ユース年代の代表にも名を連ねながら成長を重ねてきました。昨シーズンからトップチームでレギュラーを掴み、今年はレイソルのディフェンスリーダーとして君臨しています。

もう1人は、1997年生まれで東京五輪世代の中山雄太。2017年5月に行われていたU-20W杯ではキャプテンを務めました。母国開催のチームを引っ張るリーダーとして2020年開催の東京五輪を見据えている、非常に頼もしい選手です。

二人に共通する点として、「当たり負けしない空中戦の強さ」「ボール回しにおけるスキルの高さ」が、それぞれ挙げられます。

ただ相手の攻撃を跳ね返すのみならず、彼らがボールを効率よく最終ラインから供給することで、レイソルの攻撃は既に始まっているのです。

(3)待望のレジスタ「手塚康平」の覚醒

Kohei Tezuka(Photo By @FIGObarcelona
手塚選手

レイソルの前半戦最大のサプライズが、手塚康平の覚醒でした。

ボランチ争いではキャプテン大谷が不動の存在ではあったものの、もう1枠のレギュラー争いは熾烈を極めていました。

シーズン開幕時は小林がレギュラーの座を奪取し、3月には元日本代表の細貝が電撃加入するなど、ボランチは決して層の薄いポジションではありませんでした。

しかし、ルヴァンカップのホーム清水戦から状況が一変します。手塚がレイソルのトップチームの試合に初出場し、決勝点となるボレーシュートを叩き込んだのです。この清水戦での手塚は、試合を通じて最も活躍した選手に選ばれました。

その後も4月のアルビレックス新潟戦で決勝点となる直接フリーキックを決めるなど、試合を決定づける活躍を続けていきました。彼の左足から放たれるシュートは、気づけば攻撃時のオプションとして欠かせないものとなっていたのです。

チームの「頭脳」とも評されるレジスタとして、手塚の存在はチーム内で唯一無二とも言えるでしょう。

8連勝中は全試合スタメンで出場し続け、多くのライバルを差し置いて、完全に定位置を確保するようになりました。

【第9節アルビレックス新潟戦(1-0)の手塚のゴール】

(4)チームを支える155cmのダイナモ「中川寛斗」

Hiroto Nakagawa(Photo By @FIGObarcelona

中川選手

レイソルの攻撃の中心には、155cmの小さな巨人が君臨していました。

リーグ開幕時はベンチスタートであったものの、ディエゴ・オリヴェイラの怪我によってスタメンのチャンスを掴み、彼の復帰後も出場を重ねてきました。

中川の持ち味は、なんといっても圧倒的な運動量です。

前線から果敢に追い回して相手のパスミスやコントロールミスを誘うなど、守備面での貢献度の高さは計り知れません。

また、自陣からの組み立て時には相手のスペースに効率よく動き出し、抜群のボールコントロールで前線へと繋ぎます。

攻守において替えの効かない選手として活躍し、連勝期間中はチームのバランスを保ち続けてきたのです。

そして第14節の浦和戦では、ヘディングで決勝ゴールを叩き込みました。結果的に2年以上勝てていなかった相手に競り勝ち、試合を決める“大仕事”をやってのけたのです。

【第14節浦和レッズ戦(1-0)の中川のゴール】

(5)攻撃陣の激しいレギュラー争い

レイソルの攻撃陣に目を向けると、激しいレギュラー争いが繰り広げられています。

シーズン開幕当初は、2016年シーズンのチーム得点王であったディエゴ・オリヴェイラ、新加入のハモン・ロペスらのブラジル人選手が活躍するかと思われていました。

しかし、いざ開幕してみると必ずしも外国人選手の定位置は安泰ではありませんでした。

彼らが調子を落とすようであれば、大津や武富が勝利に導くゴールを決める活躍がありました。本調子でない選手がいたとしても、日替わりでヒーローが生まれていたのです。

選手たちのプライドが激しくぶつかり合い、チャンスを得た選手が結果を残すという好循環により、記録的な連勝が生まれたのです。

【第7節ヴィッセル神戸戦(2-1)の大津のゴール】

【第13節大宮アルディージャ戦(4-2)の武富のゴール】

また、怪我によって途中からレギュラーの座を明け渡していたディエゴ・オリヴェイラも、試合で得たチャンスを見逃しませんでした。

第16節の札幌戦では、終了間際に勝ち越しとなるゴールを決め、チームを勝利へ導きました。

彼らが前線の「4枠」を争う激しい競争によって、レイソルの攻撃陣は大事な場面でゴールを決めてきたのです。

【第16節コンサドーレ札幌戦(2-1)のディエゴ・オリヴェイラのゴール】

シーズン後半戦の日程も要チェック!

開幕当初は厳しい船出であったものの、前半戦を3位という高順位で折り返したレイソルには今後も目が離せません。

セレッソ大阪戦を境に3週間のブランクを挟んだ後、7月30日のアウェイ仙台戦からシーズンが再開します。

上半期のレイソルの戦績を復習し、後半戦の試合を是非とも観戦してみてはいかがでしょうか?

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